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07年9月10日(月)

PISA型学力と全国学テ教育研究

070909Matsushita.jpg 9月9日(日)、京都教育センター公開学習会での松下佳代教授(京都大学)講演を紹介します。



1.PISAショック―学力をめぐる政策の変化―
 (1)国際学力調査の結果
  PISA2000→PISA2003 読解リテラシー31カ国中8位→41カ国中14位
  ※PISA2006の結果は2007.12公開予定
 (2)文科省の動き
  2002年~2005年 「ゆとり」から「学力向上」に
2.全国学力テストの分析視点
 (略)
3.PISA型学力の検証
 (1)テスト問題の比較
 (略)
 (2)全国学力テストはどのようにして作られたか?
 PISAの「傾向と対策」として作られた。
 04年12月「PISA・TIMSS対応ワーキンググループ」が設置され、05年12月「読解力向上プログラム」作成。
 そこではPISA読解リテラシーが定義され、PISAのテスト問題から特徴を抽出、PISA読解リテラシー調査結果が分析された。03年と06年を比較すると中位層が下位層にシフトしたことがわかった。数学的リテラシー、科学的リテラシーでも同傾向が見られることから、全国学テB問題でこのタイプの問題が多く入れられた。
 (3)そもそもリテラシーとは?
 (略)
 (4)PISA型学力とPISAリテラシーはどこが違うのか
 PISAリテラシーは、OECDのあげる教育目標としての能力の1つにすぎない。
 3つのキー・コンピテンシー

1
道具を相互作用的に用いる
A 言語、シンボル、テクストを相互作用的に用いる
B 知識や情報を相互作用的に用いる
C テクノロジーを相互作用的に用いる
2
異質な集団で交流する
A 他者とよい関係を築く
B チームを組んで協同し、仕事する
C 対立を調整し、解決する
3
自律的に行動する
A 大きな展望の中で行動する
B 人生のプランや個人的な計画を設計し、実行する
C 権利、利害、限界、ニーズを擁護し、主張する

 *現段階で指標化できたのが1A(読解、数学的)と1B(科学的)のリテラシー=PISAリテラシー
 日本はPISA型学力だけを「傾向と対策」的に上げようとしている。(目的と手段の転倒)
 フィンランドでは1985年に習熟度別を廃止、異種混合のグループ学習を基本とし、試験もない(全国学テは抽出)。PISAで上位になるためにやっているのではなく、他の能力も含めた総合的な力をつけるためにやっていて、それが結果的に1位になった。PISAリテラシーとは3つのキー・コンピテンシーのうちの一部であるという認識があるかないか。日本ではそこだけを切り離して「PISA型学力」と呼び、PISAの結果を上げることを目的に学力テストを取り組んでいる。
4.全国学力テストの問題点
(1)目的
 抽出ではなく、悉皆であることの意味→(国が)機会均等と水準の維持向上の観点、学力・学習状況を把握・分析、成果と課題を検証し、改善を図る。各教育委員会、学校等が全国的な状況との関係において成果と課題を把握し、改善を図る。→すべての教育委員会・学校が全国平均を上回ることは不可能
(2)ハイステイクスなテストになる危険性
 「社会的な決定のために数量的な社会指標を用いるほど、それがモニターしようとしている社会的なプロセスをゆがめて堕落させる可能性は大きい」「もし重要な決定がテストの結果によって左右されると、教師はテストに向けた学習指導をすることになる」(G.F.マダウス)
(3)指導や学習に生かすことの難しさ
 忘れた頃に戻ってくる。記述式の問題が多いにもかかわらず、答案が返却されない。派遣労働者が採点。
5.問題点をあげればそれでよいか?
(1)60年代との状況の違い
 ・イギリスをモデルとする教育改革の一環
 ・業者委託
 ・説明責任、情報公開の要求
 ・学校に対する信頼の低下
 ・学校における評価の変化
(2)親や一般市民の支持
 朝日新聞5/12付 全国学力調査は「必要」57%→この声をどうみるか?
(3)希望(?)と方向性
 (略)

参加者の感想

 子どもたちにどのような「学び」を保障するのか?という視点で、もう少し深く議論したかった。
 現場では、学びの共同が破壊され、(Ex 習熟度別授業、学力オリンピック的な学力競争)子どもたちは孤立化、無力化されています。ひどい状態です。(宇治久世・中)
 楽しい授業のハウツーものの講演や書籍は身近にあるのですが、今の教育の流れの中で自分はどの辺にあり、子どもたちの成長に責任を持つ者として、「やらなければならないこと」「やれること」がモヤモヤの先に見えてきました。職場に帰り同僚に、家に帰り連れ合いに、すぐにでも話したいです。(小)
 松下先生の講演は大変よかったです。PISA型学力、PISAリテラシーの違い、日本の文科省の目指そうとしている教育、矛盾を知りつつ進めようとしている文科行政の動向、政策評価+αの「+α」、今後の私たちの取組のあり方など、とてもスッキリと理解できたように思います。(センター)

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