「思いやり予算」は安全保障に適当か声明・見解
今年の大学入試センター試験、現代社会の問題(第1問、問4)で、日本の安全保障に関する記述としてもっとも適当なものとして「思いやり予算」を正答として選ばせるということに不満の声が上がっています。
選択肢は以下の4つ。
- 冷戦の進行とともに、日本の安全保障に注目が集まり、サンフランシスコ平和条約では、自衛隊の創設が主権回復の条件として明記された。
- 国際連合(国連)への加盟に際して、日本政府は新たに安全保障に関する法律を制定し、集団的自衛権の行使を認めるようになった。
- 日米安全保障条約に基づいて米軍が駐留しているが、その駐留経費の一部を「思いやり予算」として日本政府が負担している。
- 地方自治体で、在日米軍基地にかかわる住民投票が実施されたことがないのは、安全保障政策が国の専管事項とされているからである。
この「問4」は「冷戦後の国際政治情勢の変化に伴う新たな国際秩序の構築・維持のために」、日本が「憲法の平和主義の枠内で」行っている国際貢献としてふさわしいものを選ばせるというものですが、1,2,4は事実と違うから消去するとしても、3が正解というのはちょっと疑問です。
「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの生存と安全を保持しようと決意した」(日本国憲法前文)日本国民として、そもそも安保条約自体がふさわしいと思わないし、ましてやこの財政難の折、国民の苦しみを尻目に多額の「思いやり予算」を負担しているこの矛盾のどこが「最も適当なもの」にあたるのでしょうか。
ふさわしい国際貢献をいうなら、泥沼化する報復戦争に協力せずキッパリやめさせる、和平プロセスを後押しする外交の努力、武装解除などの治安支援、それに道路整備や保健医療分野・難民の定住支援・インフラ整備・教育など復興支援活動ではないでしょうか。
ほかの設問にも引っかかるところがあります。PKO法をはじめ防衛省設置法、イラク復興支援特別措置法などが国際情勢の変化に伴い、国際貢献のために日本が果たすべきものとして制定されたというふうに読める(問3)し、「近代人権思想の精神に立ち戻り」、私たちが「権力を制御する」ためには二大政党制が有効であり、その実現のために小選挙区制がふさわしい(問9)と主張しているかのように読めます。